Stars



『Stars』は「星」を被写体とした複数の作品をまとめた作品群です。
そして同時にそれ全体でひとつの作品でもあります。

ある全体が何かの部分であり、その部分を集めた全体もまた何かの部分である、というこの宇宙の構造。
それを星を撮影したこの作品(作品群)に反映させるのはおもしろいと思いました。

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制作のきっかけは、ある写真家の写真集に入っていた星の写真です。
それを見たときに僕は「きれいだ」と思いました。
でもその後にひとつの疑問が思い浮かびました。
その「きれいだ」と思ったのは一体何に対してなのか?

写っているのが星であることは知識として知っています。
けれど、その写真で実際に見えてるのは光点の散らばりです。
「きれいだ」と思ったのは、星に対してなのか、光点の散らばりに対してなのか。
おそらく疑問の答えとしては、どちらでもあるのだと思います。
つまり、見る人が決めればいい。

このことは僕にひとつの考えを与えてくれました。

星は恒星という具象的なものでありながら、
見えてくるのは光点の散らばりという抽象的なものです。
よって、星は具象と抽象という両極の性質を同時に持っていると言えます。

相反する二つの極が同時に存在することを、僕は「二極併存」と呼ぶことにしました。
「二極併存」とは、どちらかであって、どちらかでもなくて、どちらでもいい。
それは白にも黒にもなりうるグレーゾーンです。

そして、具象と抽象、可視と不可視、有限と無限、必然と偶然…
星は様々な「二極併存」を持っています。
星を「二極併存」の象徴として被写体に選び、様々な考察を踏まえた上でまとめたのがこの『Stars』です。

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『Stars』の制作を通して気づいたことがあります。
それは、「二極併存」は星だけの特性ではなく、むしろこの世界のすべてのものが持つ性質だということ。
だから、それを言うのに星である必要はありません。
でも僕にとっては星でなければならなかったのです。

各作品について


「stars」
星空を撮影した作品。
作品群『Stars』において基本となる。

「distance」
同じ構図でピント位置を6種類に変化させて撮影した写真を重ねた作品。
星の抽象性は距離によって現れる。

「naked eye」
肉眼で見たままの明るさで撮影した写真と、
その写真の明るさを調整して星が見えるように加工した写真の、2枚1組の作品。
肉眼で見えないものでもカメラは見ることができる。

「saturation」
日の入り直後に撮影した作品。
明るいけれど星が見える。明るくて星が見えない。




展示


二人展+グループ展『part of the whole』(2016.4.28-5.4)



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